算数はやさしい教科である。だれでもついていける教科である。また、そうあるべきなのです。
平凡で、やさしくて、当たりまえな考え方がいちばん役に立つ。これは算数ばかりではない。
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数学は短編小説の集まりではない。一つ一つの事実が全部つながっている長編小説である。
数学教育論シリーズ[水道方式とは何か]「なぜ算数を学ぶのか」より
水道方式は日本の数学教育史に燦然と登場した、学術的考察に裏付けられた算数の指導方法です。その特徴は算数の学習内容が整然と体系付けられていること、タイルの操作を通じて十進法の仕組みや計算の成立つ理由を理解できる点にあります。教育者が水道方式を学ぶことで、これを参考に独自に教材やドリルを発行したり作成することができるオープンなものです。
水道方式が普及しにくい一つの理由として、一貫した体系が、その一貫性ゆえに、最終的には水道方式を全面的に導入するか、しないかという究極の選択を求められる点にあるのだと思います。
水道方式を導入した学校や学習塾では、一旦導入した後はこれを使い続けています。導入時のハードルを克服さえすれば、指導要領の変更にも耐えうるものだということが言えます。
非科学的あるいは場当たり的な教育は、一時的にブームになっても、その内容については議論の対象にもなりません。
水道方式は、誕生から半世紀以上経過した今でも議論の対象となります。論理的に裏付けられた指導法ですから、議論する価値があるのです。